前回のつづき…だけれども、ストーリーとしては、前々回のつづきなのである。
つまり、息子と一緒に景色を一望できる山へ行き、アルバイト先へ送って行ってやった、その日のお昼頃の話である。母が「花の展示会を見に行こう」と言い出したのだ。
幾分の距離があるので車で連れて行ってくれるのかと思いきや、自転車で行くのだと言う。まあ、僕は全く平気だけれども、母は大丈夫なのか?本人は、「そのくらい何でもないわよ」と言うのだけれども。
ちなみに、実家にはママチャリが2台ある。前回来たときには古いものが1台だけあったのだけれども、最近になって母が、自分専用にもう1台買ったようである。
父は、日課としている散歩の最中だった。朝食を摂って新聞を一旦読み終えると、昼過ぎまで帰って来ない。10km以上をぐるりと回って歩くのだそうだ。
そんな訳なので、2台の自転車に乗って、母とふたりで出掛けた。道は母任せなので、僕は後について走る。住宅や田畑の中を進んで行った。途中には、アカシヤの並木がある。母は「帰りに少し摘んで行こう」と言った。
アカシヤの花は白く、葡萄の房のような形をしている。咲いたばかりの若い花は、触るとふわっとして柔らかい。これを天ぷらにして食べると、甘く美味しいのだ。僕は、今夜のおかずはきっと天ぷらなのだろう、と思った。
さて、ゆっくりと走って、お昼過ぎには展示会場の付近に着いた。周囲は交通規制が敷かれていて、自転車を停めて良い場所がよく分からない。ぐるっと走り回って、漸く見つけた。
会場となっている公園に入ると、屋台がたくさん並んでいた。母が「お昼に何か食べよう」と言うので、僕は焼きそばを買って貰った。何やら、3種類セットというもので、値段は1000円だった。食べ応えがあった。ご馳走さま…。
お腹が満たされたことだし、いよいよ目当ての花を見に行こう、ということになった。母は「TVのニュースで、丘が花一面になっているのを観た。そこへ行きたい」と言う。案内図を見ると、会場のいちばん奥の方だ。
この日は、気温が30度になんなんとするような、謂わば夏日であった。自転車をずっと漕いで疲れてきたのか、会場内を歩くのを母は少し億劫がっていたようだけれども、僕たちは頑張って進んで行った。
すると、公園の木立を越えた向こうに、文字通り見渡す限りの一面の花壇があった。いや、花壇と言うには余りにも巨大である。ちょっとした丘がそのまま花畑になったようなものか…。
その丘の片隅に、古い遊具が残っているのを見つけた。それで僕は思い出した。子供たちがまだ幼かった十数年前、車でこの公園に一度だけ来たことがあるような気がするのだ。そのときは、まだ只の丘だった。
それが今や、こんな立派な巨大花壇になっているw これは凄い。案内の看板を読むと、昨年から2000人以上の人たちが15万以上の苗を植えて作ったのだそうである。何とも、スケールの大きな話だ。大変に驚いた。
僕と母は、この花壇の内側に設けられた歩道に沿って、中を散策した。日曜日だったこともあって、人出は多いように思えた。皆んな、カメラやスマホを手に、思い思いの風景を撮っている。僕もニコン P900で撮影を開始。
丘は小さく、余り高くはないけれども、上から見下ろした景色もまた圧巻である。いやあ、実に見事な咲きっぷりだと思う。花は色取り取り、種類も豊富。よくこれだけ多くの数を植えて、ちゃんと咲かせたものだと感心してしまう…。
そのように非常に多数の花が咲いている中で、母が特に気に入っていたのが、下の写真の花だ。僕の娘の名前を出して、娘に「そっくり、そっくり」と喜んでいた。
アグロステンマという花なのだそうだ。近くの札にそう書いてあった。何がどう娘と「そっくり」なのか、僕には今ひとつよく分からなかったけれども、母はとにかくこの花が気に入ったようである。
しかも、下のズーム気味に撮った写真ではいけないのだと言う。上のような、ちょっと引きで全体を撮った写真の方が良いのだそうだ。益々、よく分かんないw まあ、そのくらいに拘りがあるようなのだ。
このように母のふとした思いつきで出掛け、見事な花たちを観賞できて実に良かった。まさに、眼福である。この巨大花壇の丘は、今後どのように維持されていくのだろう?出来得るならば、ずっと花を咲かせていって貰いたいのだけれども…。
さて、会場となった公園には、他にも有益な情報があった。花の名前が分かるアプリが紹介されていたのだ。下の写真が、その看板である。「グリーンスナップ」というアプリだ。「人工知能でお花の名前がわかる!」というのが良いではないか。
それで、僕は帰宅後、早速このアプリをiPad miniにインストールしてみた。この前の日、駅から実家まで歩いているときに見かけた黄色い花の名前を調べてみようと考えたのだ。(そのときの投稿は、こちら)
「グリーンスナップ」に、そのときの写真を読み込ませる。すると、幾つかの候補が表示された。明らかに違う花は、スワイプして飛ばす。その中で、これだ!と思えるものが見つかったのである。
そうだ、これだ。キバナコスモスと言うのか…。そう言われてみれば、コスモスの一種のような気がしてきたぞw きっと、これで間違いないだろうと思う。なるほど、とても便利なアプリだな。今後も花の写真を撮るたびに利用してみよう。
そんな訳で、母と僕は、強い陽射しの中、暫く丘の上の花たちを観賞してから帰ることにした。あと、この公園の中には、様々なインスタレーションが設置されていたのである。これも、実に興味深く見た。それらについては、また来週に。(次回に、つづく…)
では、良い週末をお過ごし下さいませ…。
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『このレトロゲームを遊べ! (インプレスムック)』
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