トランジスタの方は、ひとつだけ足が真っ黒になっているものが見つかった。5本足のトランジスタである。
このトランジスタについて、様々なサイトや書籍などで調べてみたところ、やはりサーボ回路の回転制御用で使われることが多いようだ。どうやら、この部品の劣化が、今回の高速回転の原因だというのは、おそらく間違いない。
しかし、故障していたのは、このひとつだけだったのである。このレコードプレーヤーを開けてみるまでは、最低でも3つくらいの部品がダメになっているのではないか、と想像していたのだけれども、たったひとつなら、かなりマシな方だろう。電解コンデンサに続いて、これもまた、優秀である。
(上の写真中央付近の、5本足の部品が、そのトランジスタ。足に、お焦げのようなものが、びっしりと付いているのが見て取れると思う)
さて、そのトランジスタに刻印されている番号をネット検索してみると、やはり、ディスコン品だった。当然ながら、長年のうちに、既に生産終了となっていたのである。互換品も、もう無いようだ。
更に調べてみると、裏技的に、3本足のトランジスタをニコイチにして間に合わせる、という方法があるらしい、ということが分かった。5本足のトランジスタは、3本足のトランジスタをふたつ合わせたような構造となっているからだ。確かに理論的には、そのようなニコイチのやり方も可能だろうと思う。しかし、ひとつの部品が入っていた場所に、敢えてふたつの部品を入れるというのは、考えただけでもかなり面倒な作業だ。
いずれにせよ、今日のところは、このトランジスタの手持ちが無いから、交換はまだまだ不可能だ。取り敢えず、消毒用アルコールと接点復活剤を使って、黒く焦げた5本足を綺麗に磨いておくことにした。まあ、この汚れを取っておくだけでも、この箇所の電流の不良くらいは多少治まるだろう。でも、トランジスタそのものが直るわけではないので、これはダメ元である…。
(下の写真は、拭き掃除が終わった後に撮ったもの。トランジスタの足がきれいになっている)
こうして、トランジスタの足を綿棒でゴシゴシ拭いたあと、プレーヤーを元どおりに組み直した。そして、試しに電源を繋いで、ターンテーブルを回してみる。おや、普通の回転数で回っているようだ。
45回転でも、33回転でも、大丈夫だった。急に高速回転になるようなこともなく、何枚かのシングルやLPのレコードを無事に聴くことが出来た。ほんの気休めのつもりだったのだけれども、案外効き目があったようなのである。これには、ちょっとびっくりした。
…というわけで、取りあえずのところ、トランジスタの交換なしで、そんなお掃除だけで直って(?)しまったのだ。
でも、サーボ回路の中の、あの5本足トランジスタが劣化しているのは変わりがないので、そのうちにまた高速回転が起きるかもしれない。まあ、そのときは、そのとき…ということで、それまでは、このDIATONEのプレーヤーで、またレコード鑑賞を楽しむことにしたのである。
(後編に、続く…)
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図書館でこの本を読んで、トランジスタについてちょっと勉強してから修理しました…。
『トランジスターの基礎 (図解電気電子入門シリーズ)』
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