9月である。ついこの間、仕事場の誰かと「今年はもう、3分の1が終わっちゃいましたね。早いですね」などと話していたような気がするのに、気がつくと、今年はあと3分の1しか残っていないのだ。早いなんてものではないw
さて、先達ての日曜日、日中の気温が30℃を超えた。数日ぶりではなかっただろうか。どうやら、夏が悪足掻きをしている。なかなか立ち去ってはくれないようである。
でも、上空を見遣るに、雲の景色はすっかり秋の装いだ。上層雲が薄くうろこ雲のようにして広がっている。青空にこれがよく映えている。そんな中、成田発のエアバス機が雲の隙間をかすめて行った。それが、トップの写真。
多分、高度7000mくらいだっただろう。ジェット機はその機種に特有の白くポッコリとしたお腹を出して青空を駆け抜け、やがて巻積雲の塊へと姿を消したのである…。
そして、昼下がりにベッドの上で田中慎弥氏の最新刊を読みながら、LOVE PSYCHEDELICOのベスト盤を聴く。デリコを聴くのは、10年ぶりくらいだろうか?
純文学と邦楽の英語混じりロック。うーん、良い組合わせなんじゃないの?w ページが実に捗ったように思う。でも、少し読み残してしまった。もし午前中から読み始めていたら、この日のうちに読了していた筈だったのに。
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ヤマハがグレン・グールド・ファウンデーションの協力で、グールドのピアノ演奏AIを開発というニュースを読んだ。こういったAIの活用法は予期されていたことではあるけれども、遂にここまで来たか、という感じ。
(出典:「AMP[アンプ]」
僕は、このニュースを作家の平野啓一郎氏のSNSで知った。その中で、平野氏は「ショパン弾かせようとしたら、拒否して、なぜ自分がショパンが嫌いかをピアノがしゃべり出したりして(笑)」とコメントしておられた。面白い…。
もしくは、僕の想像では、モーツァルトを演奏させようとすると、如何にモーツァルトがダメな人であるかを語りつつも、渋々と独自解釈で弾き始める、といったところかなw
個人的には、ベートーヴェンの交響曲の、リスト編曲版をこのグールドAIに全曲演奏させてみて欲しいと願っている。
例えば第7番である。その第1楽章から全部というのは如何だろう?この曲は、目下のところ、第2楽章しか聴くことが出来ないので…。グールドの手による、あの「不滅のアレグレット」は大変に素晴らしかった。
上の動画が、そのアレグレット。グールドらしい破天荒な性格を内包する演奏が、ベートーヴェンのそれと実に良くシンクロしている名演中の名演の、更なる極北だろう。
そう言えば、平野氏のエントリに「(グールドの演奏は)若い時と晩年とずいぶん違うと思うんですが、年齢調整ボタンもついているんですかね」という、どなたかからのコメントが付いていて思わず笑ったw
言われてみれば確かにそうだなあ。グールドの演奏はどちらかと言えば、晩年寄りの方だけでも充分だと僕は思うけれども、そりゃたまには若いヴァージョンのピアニズムも聴きたくなるかもね。面白い着想だと思う。
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田中慎弥氏の作品は、僕にとって何故か、読みやすいものとそうでないものとに分かれるような気がします。これは、断然に読みやすい方ですね。物語の内容が、田中氏の日記のようでもあり私小説のようでもあり、そんな生活感や現実感(?)がそう感じさせているのかも知れません。短編集のように見えて、実は先頭の物語から順に話が繋がっています。前から読み進めることを推奨いたします。それにしても、作家の生活って、随分と大変そうですね…w
田中慎弥 著『ひよこ太陽』
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