トップの写真は、先日かみさんがお買い物ついでに(?)買って来た、ねこパンとねこ酒。お酒は静岡の吟醸酒だ。「花の舞」という。カップの可愛いデザインが気に入って、つい買ってしまったらしい。パン共々、美味でございましたw
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疫病が蔓延しているこのご時世は、様々なクリエイターやアーティストの方々が動画をアップして下さっている。家に籠っている間、我々に励ましと喜びを与えてくれようとしているのだ。有難いことだと思う。
例えば、坂本龍一キョージュは、過去のライブ映像をYouTubeにアップしている。既にふたつ上がっているようだ。いずれもヨーロッパで開催された、ピアノソロやトリオ編成の公演である。
その他、僕のお気に入りをご紹介したいと思う。下のリンク先では、「東京都交響楽団からの春休みの贈り物」という動画。東京芸術劇場で収録された演奏の模様を2本観ることが出来る。
客席に人がいないので、この動画のためだけに演奏したのだろう。リハーサルや撮影の時間と手間を考えるに、これは結構な大盤振る舞いだ。きっと、サービス精神旺盛な、都響音楽監督の大野和士氏の発案だと思う。
(出典:ドラクエパラダイス)
2本のうちの1本目の動画では、最初と最後にドラゴンクエストの曲が登場する。都響がドラクエを演奏するのは現在では極めて普通のことなのだけれども、指揮が作曲者のすぎやまこういち先生ではないというところが珍しい。
情熱のマエストロこと大野和士氏のタクトだ。この指揮が、すぎやま先生ご自身のそれに負けず劣らずに素晴らしいのだ。
大野氏による「序曲のマーチ」の演奏は、テンポがやや速め。各パートの音量を細かくコントロールし重層的に聴かせるところは、例えばワーグナーを想起させるかのようだ。この曲の別の側面を見る(聴く)ことが出来たと思う。
それから、動画の最後には最新作である『XI』のラスト曲。こちらも大野氏は入念な指揮で、すぎやま先生のオーケストレーションを存分に響かせてくれる。
心なしか、普段の演奏よりも音が厚く聞こえてくるのだ。その辺りは流石、世界をまたにかけて幅広く活躍している手練の指揮者だなあと感じる。この曲も、実に素晴らしい。
こんな時勢なので、ついつい想像を巡らせてしまった。もし今後、万が一すぎやま先生に何かがあって、もう指揮台に立てなくなってしまったときには、ドラゴンクエスト・シリーズの後継の指揮者は大野和士氏で決まりであろうか、というのが僕の頭を過ったのだ。
いつものように大きく体を動かし腕を振り、且つ丁寧に指揮棒を操るマエストロを見て、もうこの人しかいないなあ…と思ってしまった。そのくらいに素晴らしい譜読みと演奏であった。
コンマスは矢部達哉氏。カメラワークも凝っている。東京都交響楽団、やっぱり良いオーケストラだ。動画の締め括りも、ほのぼのとして楽しい。
さて、東京都交響楽団と言えば、GWに開催予定だった野音コンサートが先日、中止の発表となった。僕は一次抽選で当選していたので、そのうち発券に行こうと思っていた。でも、チケットを貰う前に取り止めとなったのは重ね重ね残念だ。
まあ、きっと中止になるだろうな、とは薄々感じていたけれども…。もう、僕は彼此4つも5つも、こういった催しが中止の憂き目に遭っている。今般の世界的な疫病のせいで、医療や経済のみならず、文化もいずれ衰退しそうである…。
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さてさて、気鋭の講談師、神田松之丞改め六代目 神田伯山の講談(畦倉重四郎 全19席)が、YouTubeに一気にアップされていた。全部で7時間を超えるかと思われる大盤振る舞い。ご本人のチャンネルからなので、ブートレッグなどではない。本物の動画だ。
この人の講談は、ホントに凄い。文字通り、凄みがあるのだ。僕はCDを持っているけれども、音声だけで聴いていると、その声の迫力にちょっと怖くなってくるので、おいそれとは聴けない。
やはり、映像付きの方が、表情や仕草なども同時に鑑賞できて、神田松之丞(…じゃなくて今は伯山)の真骨頂だという気がする。DVDも欲しいなあ。この人は天才だ。きっと、講談の歴史を塗り替えるだろうと思う。
このような究められた話芸を鑑賞すると、僕は「言霊」ということについて考えてしまう。例えば、この神田伯山(ちなみに、上の動画の時点では、まだ神田松之丞だった)の講談には、確かに言霊が宿っているように思われるのだ。
Wikipediaで「言霊」を調べると、冒頭に「声に出した言葉が、現実の事象に対して何らかの影響を与えると信じられ」云々とある。そう、言霊とは声にこそ宿るのである。書き言葉よりはむしろ話し言葉に、というわけなのだろう。
すると、誰の声にも宿るのか?というと、そうでもなく、上にも書いたように究められた話芸の中にこそ、それは棲んでいるのだろう。僕は、神田伯山を通して、確かに言霊を聴いている。だから、この人の講談の虜になるのだ…。
そして、きのうまでに、この講談「畔倉重四郎 全19席」を漸く6席まで観た。約3分の1である。いやあ、面白い。俄然、盛り上がって来た。迫力満点。もっとドンドン観たいけれども、英語の勉強もしなくては。この動画は絶対にお勧めです!観なきゃ損だよw
いまTVの世界では、ドラマやバラエティ番組の収録をどうしたら良いのか、みたいな騒動になっているようだけれども、態々そんなものを新たに作って流さずに、こういった名人芸のライブラリィをジャンル問わず当分のあいだ放送していけば良いんですよw
NHKも民放も社歴が長いんだから、過去の名作のフィルムやビデオが幾らでもあるだろうになあ…。若しくは、何処かが神田伯山に話を付けて、この「畔倉重四郎」をぶっ通しで放送するのもまた、良いのではw これ、どー考えても必見なんだもの…。
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