昨夜のことである。僕が塾の仕事から帰宅すると、玄関までかみさんがやって来て、「ちょっとちょっと」と小声で手招きをする。何か、子供たちに秘密のものでも買ったのかな?と僕は考えた。
すると、娘の部屋の入り口に置いてある、やや大き目のAmazonの段ボール箱を指す。ただし、箱の口は開いている。そこに白っぽいブランケットが被せてあった。
かみさんは、それをめくると、「うさぎを拾った」と言うのだ。その言葉を起点に、珍しくやや早口で、顛末を話し出す。僕は、箱の片隅にうずくまっている、そのうさぎをただ、見つめていた。
うさぎは、プーさんの絵が描かれている厚手のタオルを乗せられていた。こうして温めているのだ、と言う。あとで、お湯を入れたペットボトルをうさぎの横に置いておく、とも。
この日の夕方、かみさんと娘は、近所の公園に散歩へ行ったらしい。そこには、娘の同級生もいた。すると、その公園の片隅の草地で、うさぎがひとりでピョンピョンと跳ねて彷徨っていたのだそうだ。
周りを見渡すと、人っ子一人居ない。このうさぎは、捨てられたか、何処かから逃げてきたのだろう、と真っ先に考えたのだと言う。野生のうさぎが棲息しているような地域でもない。
きっとこのままでは、夜になったら寒くて死んじゃう、家に連れて帰って温めてやろう、と娘や同級生の子と相談し、追いかけ始めたのだと言う。
それはそれは、大捕物だったらしい。うさぎは、案外と勢いよく跳ねて、盛んに逃げ回ったのだそうだ。そこを3人がかりで漸く捕まえた。
翌日か近いうちに、近くの動物病院に行って、「うさぎを保護しています」という掲示を出して貰うのだそうだ。もし飼いウサギであれば、主が現れるかも知れない。
上も、昨夜撮った写真。撮影のために、プーさんのタオルをどけてみたところ。この日は、こんな風に右の片隅でじっとしていただけなのである。うちにはラビットフードがないので、かみさんが庭のミントを摘んで置いた。うさぎはミントの葉を食べるのだそうだ。
連れて帰って来て以来、こんな風にあんまり元気がないので、朝になって死んじゃっていたらどうしよう?なんてことも言っていた。うさぎは、ちょっとしたことで死んでしまうことがある。
僕の知り合いの話だけれども、そのお宅で以前うさぎを飼っていたことがあった。ある日、公園か何かで放して遊ばせていたところ、同じように放されていた犬がやって来て、盛んにそのうさぎに吠えた。
すると、その知り合いのうさぎは、少し経ってからだっただろうか、ショックで死んでしまったと言うのだ。かなりデリケートな動物なのだろう。
だから、今回のこのうさぎの箱も、かみさんは娘の部屋に置いておくことにした。うちのねこは、娘の部屋には滅多にやって来ない。階も違うのである。両者が出会うことは、多分ないだろうというわけだ。
さて、翌朝。僕は、早朝の仕事から帰って来て、うさぎの様子を見てみた。昨夜とは位置が変わっている。丁度、対角線の位置に移動したようだ。従って、向きも変わっている。
上の写真は、昨夜撮影した写真とは反対側から撮った。まだ右側にいるように見えるけれども、昨夜の視点からでは、これは左側なのである。
僕が覗き込むために白いブランケットをめくった際、うさぎは少々驚いたのか、箱の中で一瞬ドタバタと動いた。昨夜とは打って変わって随分と元気になったものである。
かみさんの話では、置いておいたミントの葉は殆ど食べたらしい。娘の同級生が今朝持って来てくれたほうれん草などを、追加して与えたのだそうである。それも幾らか食べたようだ。
お昼頃、ふと思い立って、僕はまたうさぎを見に行った。ニコン P900には、ペット撮影モードというものがある。いぬやねこの顔を自動認識してシャッターを切ってくれる、という機能だ。
これが、うさぎでも使えるのだろうか?と思ったのである。試してみようw そこで撮影したのが、上の写真。見事に撮れた。でも、うちのねこのときと比べて、顔を認識するまでにやや時間がかかっていたようだ。うさぎの顔はちょっと難しいようであるw
この写真を撮る前に、頭を撫でてやったので、そのまま耳が後ろに寝てしまった。別に何かに怯えた顔をしているわけではないので、ご安心を…。
ちなみに、トップの写真も、そうである。そちらは顔認識を使わずに通常のモードで撮った。でも、まだ耳が寝たままだったのだ。ねこは、耳が寝てもすぐに(1~2秒くらいで)元の向きに戻るけれども、うさぎはこのように時間がかかるのだろうか…?
そういえば、かみさんは昨夜、「図書館で『ホワイトラビット』を借りて来たところだった。ちょうど良かった」とか何とか偶然性をアピールしていたけれども、はて、今回のうさぎ騒動(?)とこれは何の関係があるのやらw
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僕は、以前も書いたように、小説は滅多に読まないので、この作品の内容については知りません…。伊坂幸太郎も、ひとつも読んだことがないです。結構、よく知られている作家のようなのですが…。
伊坂幸太郎 著『ホワイトラビット』
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