前回は、息子の高校卒業と国立大学受験の合格発表について書いた。お陰さまで、とても良い結果を得ることが出来た。
一夜明けて、「大学生になる実感は湧いた?」と僕が訊くも、「うーん、まだなっていないので分からない」との返事。なるほど、実感というものには確実なエビデンスが必要なんだな、と僕は理解した。流石の理系であるw
僕は、自分が大学に合格した当時は、遂に上京してひとりで生活していくことになる、という張り詰めた気持ちの方が先立っていたような気がする。大学に入るということよりも、どちらかといえば「独り暮らしをする」という現実の方が大きかったのだ。
かたや、息子の場合には、正確に言えば独り暮らしではなく、僕の実家でお祖父ちゃんやお祖母ちゃんと暮らすことになる。まあ、居候のようなものだ。それでも、一旦親許を離れるということになるので、僕の場合と同様、ある種の緊張感を持っているのかも。
僕の父や母は、自分の孫と一緒に生活できることをとても喜んでいるようなので、息子もあちらで楽しくやっていけるだろう、と思う。その大学も、地元では評判の良いところだ。きっと、自分はとても良い選択をした、と感じるに違いないだろう…。
そう言えば、ネットニュースで、その大学の構内で行われた合格発表の様子を報じていた。番号が書かれた掲示板が出てくる瞬間や、それを見て大喜びする受験生たち。あとは、学生有志たちによる胴上げなどなど。
何人かの受験生たちが次々に胴上げされる映像を、息子はニコニコしながら観ていた。いやあ、合格していると分かっていれば、僕たちもこの胴上げのためだけに再び大学まで遥々足を運んでも良かったのかも…そう思ったのだった。
…
さて、かれこれ数日前のことになるけれども、僕はあるオーディオ機器を購入した。先達て、ちょっと臨時収入があったので、暫く念願にしていたものを買ってしまおうと考えたのである。
ここ数年、僕はよくCDボックスなるものを買っている。5枚組や10枚組、または25枚組といったようなCDのセットである。例えば、最近は小澤征爾。それ以前は、カラヤン、グレン・グールド、キース・ジャレット、すぎやまこういち(ドラゴンクエスト)など。
こうして纏まったセットで買うことによって、CDの単価が下がるというメリットがある。その一方で、これらを聴くたびに、プレーヤーからCDを一枚一枚入れ替えるのが段々と面倒になってくるという(贅沢な)デメリットもあるのだ。
その内に僕は思案するようになった。CDボックスのディスクを全部、ジュークボックスのようにひとつの機械に入れて、中身を自動的に切り替えながら聴くことは出来ないものか、と。
実に、贅沢な考えだと思う。ただ単に、ものぐさなだけなのであるw 何かの作業や読書をしながらずっと聴いて、ひとつ聴き終わったときに、次のCDに入れ替える手間を惜しんでいるだけなのだ。でも、そのように自動化されると有難い…。
そこで、先ず思いついたのがCDチェンジャーである。カーオーディオでよく利用される機器だ。僕の愛車にも、6連装のものが装備されている。でも、数あるCDボックスの中身を入れるならば、少なくとも100連装は欲しい。
そんな大掛かりなCDチェンジャーがあるのだろうか?とネット上で探してみたところ、あったのだ。100連装のみならず、300連装までもあった。Pioneerが嘗て発売していたようだ。但し、今はもう生産終了となっていた。
今から購入するとなったら、中古しかない。色々と探してみたら、程度の良さそうなものや、整備済みのものが見つかった。お値段は2〜3万円といったところ。これならば、上に挙げたCDボックスの中身がひと通り入るだろう。
しかし、CDチェンジャーは、複雑な機構を持つ故に、使用途上の故障がちょっと怖い。CDを詰まらせてしまう、という症状などが考えられそうだ。実際に、その故障で中のCDが全部取り出せなくなってしまったというユーザーの書き込みも、ネット上では見かけた。
昔のレコードのジュークボックスのように、CDがメカニカルにカシャンカシャンと動いて音楽を奏でてくれる様子は、想像するだけでも楽しいのだけれども、やはり機械的な故障は少し怖い…。
そこで、別の候補を探してみた。CD/HDDプレーヤーである。CDをリッピングしてHDDに取り込み、演奏してくれるという機器だ。要は、PCでCDを取り込んで鳴らす、というのと似たことを簡便にやってくれるのだ。
これは、ONKYOが10年くらい前に発売していたことがあるというのが分かった。謂わば、HDDを内蔵したCDコンポなのである。その容量は、純正で80GBだった。
まあ、当時は今よりもHDDの価格が高かったせいだとは言え、80GBはちょっと少ないなあ、と思った。ざっくりと言えば、CD100枚分といったところだろう。やはり、300枚分くらいの容量は欲しい…。どこまでも、贅沢な欲求なのであるw
すると、ふとあるときに、この80GBのHDDを500GBのSSDに換装したモデルが売られているのを見つけた。個人で換装作業を行い、ネット上で販売しておられる方がいらっしゃったのである。
しかも、80GB版の中古品よりもそれほど高価ではない。むしろ、その中古価格に500GBのSSDの値段をそのまま上乗せしただけのような価格設定に思われた。つまり、割とお買い得なのだ。
これならば、自分で換装作業をする手間が省ける(その作業の楽しみは無くなるけれども…)。ではよし、買ってしまおう、と暫く逡巡したのちに決めたのである。
そして、先日、送られて来たのが上の写真の箱だ。運送中も丁寧に扱って貰えるよう、注意書きが大書してある。気遣いのできる方に送って頂いたようだ。実に有難いことだと思う。
はやる気持ちを抑えて、開封。そのプレーヤーは、付属品と共に、厳重に梱包されていた。しかも、5kgくらいある本体を、引っ張り上げやすいようにも工夫されていたのである。これには、再び感謝だ…。
お手製のスタートアップガイドに従って、配線などを行い、スイッチを入れる。これも、そのガイドに書かれている通り、数分間の「初期設定中」画面の後、遂に立ち上がったのだった。
本体には、天板やサイドに多少の擦り傷があれども、他はかなりきれいな品だった。バックライト付きカラー液晶の画面も問題なく見ることが出来る。結構いい個体のようだ。
そこで早速、テオドール・クルレンツィスのCDを試しに取り込んでみた。CDボックスの方は、この後でじっくりと作業するのだw トレイにCDを載せて入れると、自動的にネット上からタイトルや曲名などのデーターを取りに行く。
場合によっては、英語版データーが1〜3種、日本語版データーが1〜2種という具合に複数のデーターを拾って来て選択を迫られることがある。これが少々煩わしいのだけれども、タイトルや曲名が表示されなければ後で判別が難しくなってしまうので仕方がない…。
取り込み中は、PCの内蔵ドライブのように「ブーーン」という高速回転する音が聞こえる。多分、10倍速かそれ以上くらいで作動しているのだろう。現に、1時間くらいのCDが5〜6分で取り込みできるのである。
僕が購入したこのプレーヤーに内蔵されているのは、上に書いたようにSSDなので、様々なレスポンスが割と速くて小気味いいと思う。HDD版のそれがどの位の速さなのか分からないので、比較は出来ないけれども。
クルレンツィスのCDで試したあと早速、CDボックス(ドラゴンクエストや小澤征爾氏のワーナー盤)を次々に取り込み始めた。たまに試聴してみたところ、リニアPCMで入れているため、音質には全く劣化や遜色がないようだ。
また、CD1枚分の再生が終わると、自動的に次のCDの分へと移ってくれるので、全くの手放しのままで済むのが非常に楽で良いと思う。プレイリスト機能もあるので、好みに応じた曲目の編成も可能だ。
…というわけで、まだ使い始めたばかりだけれども、これは大きな可能性を持ったプレーヤーだと思う。チューナーやタイマーも内蔵しているので、ラジオをいつもの時間にかけることや留守録も出来るのだ。
これは、僕のような、家にいる間は音楽(CDやFMラジオ)をかけっ放しにしている人間には打ってつけである。実に良いものを買った。末永く可愛がって愛用したいと思っている…。
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さて、この機種は、ONKYOのBR-NX10と言います。下は、純正の80GBHDDを積んだ中古が売られているリンクです。ネット上の書き込みでは、大容量のHDDやSSDに換装したという成功例を幾つか見ることが出来るので、もし腕に覚えがあれば可能かも知れません。それにしても、現在ではもう新品で販売されていないことが実に惜しいくらいの、優れたプレーヤーだと言えるでしょう。
「ONKYO CD/HDDチューナーアンプ BR-NX10(S)」
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