最近購入したCDをふたつ、ご紹介。どちらも大変な優れものなのだ…

今回は、僕が最近買ったCDについて書こうと思う。普段、僕は図書館で借りて聴くことが多い。一年に100枚くらい(月に10枚前後ほど)借りると思う。その殆どは、クラシックや映画音楽などである。

従って、CDを買うということは、僕にとって少々特別なことなのである。頻度は精々、月に1〜2度だろう。中高生の当時と変わらず、よくよく吟味してから「よしっ」と意を決して購入するのであるw
それは、値段の多寡というよりも、それをずっと手元に置いておきたいのかどうか、という点で逡巡するのだ。多分、本を買うときも同様だろう。謂わば、一種の相棒探しのようなものである。

さて、僕の敬愛して止まない名指揮者に、カルロス・クライバーという人がいる。その生涯のうちで商品化された盤の数は、それ程多くはない。没後に漸くリリースされた音源もまた、幾つかある。

そのひとつに、ライヴ版のベートーヴェン 交響曲第7番がある。トップの写真が、そのCDだ。
ウィーン・フィルのスタジオ録音版はドイツ・グラモフォンから生前すでに発売されていたけれども、ライヴ版の方はバイエルン州立(国立)管弦楽団である。オルフェオという、ミュンヘンにあるレーベルによる、輸入盤だ。

最近、これを安価で入手する機会を得た。中古で700円程だった。しかも、SACDハイブリッドである。グラモフォン(エソテリック)のSACDならば、今や中古でも1万円は下らない筈だ。如何にこのオルフェオ盤が安かったことかw

しかし、このSACD、実に色々と優れものなのである。先ずは、その盤が収められているケースだ。CDのジュエルケースは、上下のヒンジの部分が特に壊れやすい。薄いプラスチックが外に露出しているせいだ。
でも、このオルフェオのケースの場合、ヒンジ部分が1cmくらい内側に作ってある(上の写真をご参照)。これで、この部分の割れは極めて少なくなるだろう。これは、賢い設計だと思う。

あと、不用意にケースが開かないよう、開口部に爪が設けてある。

次は、その内側だ。ブックレットを抑える4つの半円形の爪が、上下にではなく、左右に用意されている。これによって、ブックレットを取り出すことなく開いて読むことが出来るというわけだ。何とまあ、至れり尽くせりなことかw

僕は上述のように、図書館でよくCDを借りることがあるけれども、そういった場所でしばしば壊れたり傷んだりしている箇所の殆ど全てが、このオルフェオのケースでは克服されているように思う。もう、世界中のCDがこのケースを採用すれば良いのにと感じるくらいだw

さて、ケースを褒めているだけで字数を喰ってしまったw でもまあ、カルロス・クライバーの「ベト7」が素晴らしく良い演奏なのは当たり前だw 態々、言を費やすまでもないだろう。

ひとつ、興味深いことがある。演奏後、このライヴ会場にいた観衆の反応が面白いのだ。第4楽章の終了後に聞こえてくるのは、先ずパラパラとした拍手。猛烈に素晴らしかった演奏で呆気に取られているのがよく分かるw
そして十数秒後に「ブラボー!」の大歓声と共に割れんばかりのオベーションへと変化していく。この場面もCDに逐一収録されているのだ。正に、これはベートーヴェンのひとつの演奏史である。「音楽には演奏の歴史が必要である」とは斯も名言なりというわけだ…。

そう言えば、高校の頃だったか、TVのCMにカルロス・クライバーがよく映っていたことがあったのを覚えている。ナレーションでは、バイエルン州立管弦楽団の名前も出ていた。

多分、その当時の来日公演の宣伝だったのだろう。宝飾関係の企業がスポンサーに付いていたようで、クライバーに相応しい華やかな映像だった。
今にして思えば、その来日公演に行っておけば良かったなあ…と思う。でも、当時の僕にクライバーの音楽が今ほどに聴いて分かったのかどうか…という気はするのだけれどもw

今回取り上げたカルロス・クライバーのCDは、80年代の旧い録音の作品だけれども、SACD化に当たって実に良い音質にマスタリングされている。ケースから内容まで全く文句の付けようもない、何もかもがパーフェクトなCDなのだ!


さてさて、先月『ラ・ラ・ランド』の完全版サントラを買った英国のCDショップから、また新たにCDを取り寄せた。それが先日、漸く届いたのである。例によって、到着予定日より3日くらい遅れて。
今回購入したのは、坂本龍一キョージュのピアノ曲集。何とCD5枚組で、お値段は2000円程。とっても、お買い得であるw

ちなみに、演奏しているのはキョージュご本人ではない。イェローン・ファン・フェーンという、オランダの作曲家だ。ピアノを弾く人でもある。つまり、キョージュと似たようなスタンスの音楽家と言えるかも知れない。

僕はこれまで、クラシックのピアニストが弾く坂本龍一というものを幾つか聴いたことがあるけれども、どうもピンと来ない演奏ばかりだったのである。
まるで、モーツァルトやショパンのようにキョージュの曲を弾いているからだ。もしくは現代の曲であることを余りにも意識してか、崩し過ぎていたりとか、まあどちらかだ。

でも、このフェーン氏の演奏は、非常に良い意味で、キョージュご自身が演奏しているかのようである。いや、細かく言えば少々楽譜を変えて弾いているような箇所も無きにしもあらず。そこはご愛嬌だろう。
一気にCD5枚分(全85曲‼︎)の演奏を収録して発売なんて、キョージュだって嘗てやったことはない筈で、フェーン氏の並々ならぬ意気込みを感じてしまう。きっと、余程の坂本龍一ファンなのかも知れないなあ…。

そうそう、ライナーノーツを見ると、今年の5月に10日間程でレコーディングしたとある。CDには85曲が収録されているので、1日に10曲弱のペースである。それでこのクオリティのパフォーマンスだ。ただ驚いてしまう。あと、ピアノはヤマハのC7を使ったとある。

それから何と、YouTubeで全85曲を試聴することが出来るのだ。下に貼ったのは、その中の1曲である。
これは元々、キョージュの『BTTB』というピアノアルバムに収められていた曲だった。キョージュのピアノ演奏もリリカルだったけれども、フェーン氏の音はそれに増して優美で柔らかな感じだ。

今こうして書きながらこのCDを聴いていても、実に心地好い音楽だ。
キョージュのピアニズムに似てはいるようで、程良く力が抜けていて全体的にリラックスして聴ける演奏。それは、このような季節に相応しいとも思える。今年の9月発売だったのだけれども、良いときに入手できたなあ…。

これは坂本龍一ピアノ曲集の現時点における決定盤と言えるだろう。キョージュファンにとってはマストアイテムだ。ずっと永く愛聴していこうと思っている。

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…と言うわけで、上にご紹介したCDのリンクを貼っておきます…。お求めは、こちらまで(笑。あ、それ以外のものをAmazonでお買い求めになるときにも、このブログの色んなところに貼ったリンクを通ってから購入いただけますと、嬉しいです…。

『ベートーヴェン:交響曲第7番 (Beethoven: Symphony No.7)』(Hybrid SACD, 輸入盤)


Jeroen van Veen (piano)『SAKAMOTO For Mr Lawrence PIANO MUSIC』(CD, 輸入盤)
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