先達ての土曜日の明け方は、皆既月食の日であった。赤く様変わりした月と、その隣には地球最接近中の火星が控えるという、実に見応えのある構図だった筈なのだけれども、結局見られなかったのである…。
僕は、午前3時過ぎに一旦、目を覚ました。でも、雨の音を聞いて、これは駄目だなあ…と諦めたのである。嗚呼、あと1日だけ雨天が前後いずれかにずれてくれれば良かったのに…。でもまあ、所詮こんなものなのだ。
こういった天体ショーでは、天候がすぐれずに見られない、ということがままあるものだ。今年の1月の皆既月食の際にも、少し気を揉んだけれども、当日は雲が殆ど少なくて済んだ。あれは、ラッキーな例だったのである。
トップの写真は、日曜日の正午頃に撮影した。雲に隠れた南中の太陽と、そこから漏れる陽光。これを、薄明光線と言うそうだ。これは、光が水平方向にのびているけれども、地上に向けて斜めに射すこともある。
むしろ、そういった斜めの光線の方が、我々は良く目にするかもしれない。夕方などに時折、雲間から見かける、実に幻想的なあれだ。宮沢賢治は、『告別』という詩の中で、これを「光でできたパイプオルガン」と書いている。
もしも楽器がなかったら
いゝかおまへはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ
上は、最後の5行だけを抜粋した。「そらいっぱいの 光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ」…何とも、際立つ表現力だ。光の風景を見て、楽器を想起するとは、流石の賢治さんである。いやあ、素晴らしい…。
ちなみに、西洋では幾つかの呼び名があるようだけれども、例えば、旧約聖書の中の挿話から、それを「ヤコブのはしご」と呼ぶことがある。以下、創世記 第28章10~12節より、文語訳(明治訳)で。
茲にヤコブ、ベエルシバより出たちてハランの方におもむきけるが
一處にいたれる時日暮たれば即ち其處に宿り其處の石をとり枕となして其處に臥て寢たり
時に彼夢て梯の地にたちゐて其巓の天に逹れるを見又神の使者の其にのぼりくだりするを見たり
つまり、「梯子が地面から立っていて、その頂が天に達し、神の使者が上り下りしていた」という夢を、ヤコブが野宿の最中に見たというわけだ。この話が元になってると言われている。
こういった、地上に向けて射し込んでいる薄明光線は、しばしば見かけることがある割には、僕はまだきちんと写真に撮ったことがない。大抵の場合、車や自転車に乗っていることが多く、ニコン P900が手元にないからだ。
夕方などにP900のトワイライト撮影モードで撮れば、なかなかいい写真になりそうに思うのだけれども、機会が巡って来ていない。いつか撮ってみたいと思っている写真のひとつである…。
…
そう言えば、この日、ちょっと気が向いて、P900のタイムラプス機能を使った撮影を行ってみた。
僕は普段、タイムラプス機能を使って、星の日周運動を撮影することがある。P900が2時間半の間に100枚の写真を撮り、あとでそれを10秒の動画として見せてくれるのだ。これは、タイムラプスの「星軌跡」モードである。
すると、僕が中学生の頃から熱中したように撮っていた日周運動の写真と同じような画像が出来上がるのだ。その10秒目の画像を切り出して、このブログでも何度か載せたことがある。
今回は、P900に内蔵されている、タイムラプスの5つのモードのうち、「風景」というモードを使って、空に流れる雲を撮った。この場合、25分間に100枚の写真を撮って、10秒の動画にしてくれるのだ。
試しに1本撮ってみたところ、案外と上手くいったので、気を良くしてw、合計で3本撮った。色々とアングルを変えてみたのである。その中の1本目を、動画処理用ソフトで速度を半分に落として、YouTubeにアップした。
10秒の動画のままでは、テンポが速くて幾分慌ただしいので、20秒の長さに変換したのだ。あと、このままでは無音状態なので、いずれ機会があれば、うちにあるシンセサイザーを使って音楽を当ててみたいと思う。
いま思いついたのだけれども、このタイムラプス機能を使って、夕刻の「光でできたパイプオルガン」を撮ってみるのも、面白いだろう。
僅かな時間の経過で、雲はこのように千変万化に流れてゆく。台風のあとで風が強い日だったということもあるのだけれども。きっと、薄明光線を撮っても、雲や光の射し方の変化が楽しめるかも知れない、と思う。これも、いつか挑戦してみたい。
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上の写真は、週末のうさぎ。スナック菓子のような、小動物用のおやつを貰って食べているところ。カールを細長くしたような形をしている。とても固い食べ物だけれども、ガリガリポリポリと、あっという間に1本を食べてしまうのだ。
さて、明日は、かねてからお待ちかねの(?)あれを受け取ることが出来る日である。早速、早朝の仕事の帰りに立ち寄って来よう。上手くいけば、次回の投稿でレビュー出来るだろう、と考えている…。
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