長年の友人から手紙が届くことを得る。今回はCDも一緒に。どうも有難う…

トップは、きのう、塾の仕事へ行く前に取り急ぎ撮った、黄昏時の空の写真。塾では目下、冬季講習の真っ最中なのである…。

夕刻、うさぎのおやつ用にするための、蜜柑の皮の天日干しをベランダから取り込む際、近所の屋根の向こうの西の空に薄月が見えた。そこで、ニコン P900と三脚を取り出して撮影したというわけ。ぽつんと左上に輝くは宵の明星だ。

上の写真は、その薄月を2000mm相当超えのズームで撮ったもの。暦では旧暦12月3日だったので、これを三日月と呼んでも良いものか、どうか。ちなみに、月齢では2ほど。
… と思っていたら、その後、CGクリエイターで星空写真家のKAGAYAさんが、この日の投稿で「三日月です」と書いて写真をアップしておられたのを見つけた。やっぱり、この月は三日月で合っていたんだ。良かった…。それにしても、薄いなw

それから、宵の明星を8000mm相当の超ズームで撮ったもの。光芒が幾分滲んでいる。この日の金星は殆ど欠けのない形で見えていた筈なので、このようにほぼ丸く写ってもおかしくはないと思う。
ちなみに、きょうは月と金星がもっと接近して見えるのだ。天気と時間が許せば、また撮ってみようか…。


さて、数日前のことである。塾の仕事に行こうと家を出たところ、郵便受けにA4サイズよりやや大きな郵便物が届いていることに気づいた。レターパックである。
はて、僕か娘がネットで何かを落札したんだっけな?と思って、宛名や差出人の欄に目を遣ると、僕宛であった。僕の大学時代の友人からだ。彼此20年以上になるだろうか、年に数回、手紙を送って来てくれるOさんである。

外から触った感触ではどうやらCDが入っているようだということが分かった。そのままバッグに仕舞い、塾で開封することにした。

さて、開けてみると、中にはやはりCDが入っていた。その昔は、Oさんお気に入りのクラシック音楽がカセットテープにダビングされて送られて来ていたものだ。
例えば、ストラヴィンスキーやマーラー等、近代のものが多い。「春の祭典」、「ペトルーシュカ」などなどを僕に聞かせてくれたのは、このOさんだ。

今回の贈り物は、ショスタコーヴィッチの交響曲第4番であった。演奏は、チョン・ミョンフン指揮のフィラデルフィア管弦楽団である。僕は、この指揮者を初めて聴く。とても興味深く感じた。

CDのみならず、A4で5枚にも渡る手紙も同封されていた。1枚につき900〜1000字ほど書かれているので、4000字は下らない筈だ。変わらず、筆まめ(?)なOさんである。どうも有難う。
その内容は、「メリー・クリスマス!」という挨拶から始まって、あとは哲学宗教談義。これもまた、いつものOさん流である。

具体的には、大乗仏教および浄土宗や浄土真宗に関して、それから新約聖書の翻訳や「ヨハネの黙示録」に関して、これについては浄土真宗との関連も。
あと話題が広がって、映画『ラ・ラ・ランド』についての考察も少々。いつものように、大学で哲学を専攻した彼らしい話題の広がりなのである。僕のブログについても少し触れられていた。よく読んで頂いているようで、有難い。

そして、手紙の最後の2枚は、今回のCDであるショスタコーヴィッチ交響曲第4番についての解説。如何にこの曲がマーラーなどの影響下のもとに書かれたかということなど。
…とまあ、こんな具合なので大変に読み応えがある。でも、僕は冬期講習の授業の合間にサッと読むことが出来た。つっかえずに読ませる文章を書くとは、Oさんはとても良い文章力をお持ちだなあ、と感心したのである。

さてさて、僕も年明けには、このご返事をしたためようと思う。返礼として、先達て自分用に購入した輸入盤のCDをもうひとつ、英国から取り寄せてOさんにお送りするつもりだ。
ピアノも嗜むOさんのことなので、さぞかし大いなる興味を持ってそのCDを聴いてくれるだろう、と考えている。Oさん、どうぞ、お楽しみに…。


先日、テノールのペーター・シュライヤー氏が逝去という報を見た。正直に申し上げて、大変失礼ながら、今もご存命だったのか、というのが最初の感想だった。


(出典:毎日新聞

…と言うのも、僕にとってシュライヤー氏は、カール・リヒター指揮のバッハ『マタイ受難曲』(DVD)におけるエバンゲリスト(福音書記者)役そのものなのである。あの実に明朗な発声による伸びやかな歌声。あれはもう約50年も前の収録だろう。
それ以降、宗教曲でテノールを聴くと、それが誰であれ、大抵のものはシュライヤー氏が歌っているのかと感じるようになった程だ。音楽界において影響力の大きな声楽家であったと思う。

下は、リヒター指揮の『マタイ受難曲』で取り敢えず見つかった動画。冒頭で歌っている眼鏡の人がシュライヤー氏である。この作品の日本国内版DVDでは、キリスト教学者でもあったドイツ文学者の杉山好先生による訳詞が秀逸。
僕は杉山先生のお弟子さんにドイツ語を習ったことがある…というのは、ちょっとした余談…。でも、マタイやヨハネのDVD制作時の裏話を色々と聞く機会をも得たことはとても良かったと思っている。

今頃は、天の御国でリヒター氏と再会し、再びバッハを存分に歌っておられるだろうか。
そう考えると、死というものも、そう悪くはないという気がしてくるくらいなのである…。クリスマスの日に亡くなるというのも、何かの奇縁なのかも知れない。ご冥福を心よりお祈り申し上げたい。

……
バッハの『マタイ受難曲』に関して、Amazonを少し散策していたら、音楽学者である磯山雅氏の名著『マタイ受難曲』が今月、文庫で再発売されていたことに気づきました。磯山教授も、上に書いた杉山好先生のお弟子さんのひとり。
この『マタイ受難曲』は元々、彼此20年ほど前に発売された単行本だったのですが、品切れと重版をこれまでに何度も繰り返していました。そして、版元品切れとなる度に、流通在庫や中古本がオークションなどで高値となっていたのです。こうして文庫化されれば読みたい人に十分行き渡るようになるでしょうね…。カトリック的な十字架をあしらった美麗な装丁でなくなってしまったのは少々残念ですけれども、この発売は磯山教授も草葉の陰で喜んでおられるに違いないでしょう…。
(ちなみに、磯山氏のお名前「雅」は「ただし」と読みます。大学で磯山教授の教え子だった僕の知人は「みやび先生、みやび先生」と仲間内みんなで呼んでいたのだそうな。きっと、学生に好かれる良い先生だったのでしょうね…)

磯山雅 著『マタイ受難曲』 (ちくま学芸文庫)
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