英語の読書&音読トレーニング用にと思って、ネットでちょっと珍しい(?)本を買ったのだ…

先日、ネットオークションで古本の英語聖書が出品されていたので、電気圧力鍋を買ったときに貰ったポイントを使うべく落札してみた。
これは、1冊の中に4種類もの英訳が、見開きページに並行して載せられているという「パラレル・バイブル」というものなのである。ちょっとした珍品だろうと思う。

ちなみに、その4つの英訳とは、KJV(古式ゆかしき欽定訳)、NIV(比較的意訳に近くて平易な英訳)、Living Bible(いわゆる敷延訳)、NRSV(広く一般的とされている英訳のひとつ)である。
硬軟折り混ぜた上、プロテスタントのいずれの教派にも配慮しているような、結構絶妙な組み合わせだと思うのだけれども、如何だろうか?

さて、それが届いた。包みに書かれているリターンアドレスを見ると、出品者は都内のある街にお住まいらしい。しかも、僕が仕事で毎週通っている道すがらの場所のようなのである。なんという奇遇だろうか。これならば、手渡しでもよかったくらいだw

梱包を開けてみると、思っていたよりも大きくて重いので少々驚いた。ちょっとした大辞典並みの大きさである。重量は2kgもある。
出版は米国のゾンダーヴァンだ。僕は、この出版社のインターリニア(注釈付きギリシア語原文の新約聖書)を持っている。益々、親近感と愛着が湧きそうだな。

なお、下は、20余りある英訳聖書のそれぞれのポジションを表示したチャート。ネットの拾い物だ。ご覧の通り、インターリニアは最も原文寄りに位置している(横軸の左側)。まあ、それは当然であろう。

かたやLiving Bibleは遥か右側、つまり敷延訳の位置である。NIVは、中間よりもやや右で、やはり意訳くらいの位置付けだ。NRSVは、それよりも左方にあり、NIVよりは原文の逐語訳に近い位置付けということである。
それから、KJVはNRSVよりも更に原文寄りとなっている。これは結構、当を得ているチャートだと思う。


(出典:「Wesley Anarminian」)

さて、「パラレル・バイブル」の表紙を開くと、Preface(前書き)に英文で「聖書の様々な翻訳を比較してみることは、その真理についての新たな洞察を得ることになる」(拙訳)云々と書かれている。
苟も聖書の真理を覗きたくば、原典講読(旧約はヘブライ語、新約はギリシア語)を行うのがいちばん良いと思うのだけれども、まあそんなことは置いといてw

更にページを捲る。書き込みも汚れなく、綺麗なものである。誰も読まなかったのだろうかと訝むうちに、ガス燈が描かれた栞が挟まれているのを見つけた。
裏面を見ると、聖句と共に日本聖書協会と印刷されていた。なるほど、この本はやはり何処かの信徒さんが所有されていたようである。


(上のように、本文は見開きページを4分割して並べられています)

新旧約聖書は、母語で毎日20〜30分ずつスラスラと読み進めていっても、読み終えるのにほぼ1年かかるものだ。この本の場合、英語で尚且つ4種類もの訳文がある。僕にとってはもう、英語による一生分の読書のネタを手に入れたに等しいだろう。

そんな訳で、英文多読の材料としてはこれ以上に打って付けの一冊は他にない、という思いが一層強くなった。
それから、KJVやNIVであれば、YouTubeあたりでネイティブスピーカーの朗読音声も容易に見つけられる筈だ。聴きながら読むというのもまた良い。これは実に素晴らしいものを買ったと悦に入っている…。


(装丁の地の模様が、ちょっと大理石っぽいのもまた良い感じかも…)

さてさて、やはりあった、KJVの朗読音声。(ちなみに、KJVの新版であるNKJVの朗読動画については、以前の投稿でご紹介したことがあったっけ…)
動画サイトで聖書の音声版は、doramatizedというラジオドラマ風の音声もよく見つかるけれども、僕は普通の朗読の方が良いと思っている。自分も一緒に音読しやすいからだ。加えて、この動画は、本文が同時に画面表示されていくというオマケ付きなのである。


(聖書の中から、特に代表して「ヨハネによる福音書」を貼っておきたいと思います…)

あと、NIVは、下に。この動画の場合、音がこもって聞こえるのは、元の音声が例えばテープかレコードだったということなのだろうか?さて。
でも、音読しやすいスピードなのが良いと思う。一緒に読んでみたけれども、丁度いい感じだったのだ。こうなったら、Living BibleやNRSVの音声も、そのうちに探してみるかな…。


(こちらも、「ヨハネによる福音書」を貼っておきます…)

……
日本では、こういった「パラレル・バイブル」のような、複数の和訳を幾つも並行して載せている聖書というものが存在していないようです(少なくとも、僕は寡聞にして知りません…)。しかし、欧米では数多くないながらも出版されています。下のリンクも、そのひとつ。こちらは、KJVとNKJVというふたつの欽定訳とNIV、それからLiving Bileのニューバージョン的位置付けであるNLT、以上4つの英訳が掲載されています。これは何と言っても、欽定訳のオリジナルバージョンとニューバージョンを並べて読むことが出来るのが大変に良いですね。懐が許せば、これも買いたいくらいなのですが…。

『The Complete Evangelical Parallel Bible:
King James Version / New King James Version /
New International Version / New Living Translation』
……

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